『FF10-2』を再評価してみる。低評価の原因と問題点はなんだったのか?

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

ファイナルファンタジー10シリーズは、PS4とニンテンドースイッチで『FF10/10-2』のHDリマスター版が発売されていて、昔のゲームなのに今でも高い人気がありますよね。

FF10は名作として名高いもんね。当時では最高峰のグラフィックも現代のソフトには流石に劣るけど、ストーリーやシステムが申し分ない面白さだから、今の子供でも普通にハマるんじゃないかな。

そうですね、FF10はFFシリーズの中でも人気が高いです。FF7に次ぐ知名度があると思います。

しかし、その続編であるFF10-2の評価は賛否両論、というよりもかなり否よりの評価が多いですね。発売当時から批判が多く見られる作品でした。

前作のFF10から色々と方向性変えすぎたもんなあ……。私も嫌いではないけど、擁護できない箇所も多い気はするよ。

まあがっかり感は間違いなく多くの人が感じましたよね。

タイトル画面の雰囲気とBGMがめちゃくちゃ素晴らしくて、私はその時点では「神ゲーきたこれ!」って思ってたんですよ。色々と賛否あるオープニングムービーも私は結構好きですね。

オープニングムービーまでは面白い作品だと思ってます。

オープニングムービーまでは草。

とはいえなんだかんだクリア率100%までプレイしましたし、決してクソゲーとは思いません。今回は『FF10-2』の何が良かったのか悪かったのか、再評価してみます。

なお、FF10とFF10-2のネタバレを含みますので、注意してください。

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ファンが期待した『FF10』の続編とは

《出典:FINAL FANTASY X HD Remaster》

前作『FF10』はスピラの脅威である「シン」を倒す物語であり、その目的を果たして永遠のナギ節を手に入れました。

その代償として、主人公のティーダを失います。平和な世界になったものの、ユウナにとって大切な人を失うという切なさの残るエンディングでした。

FF10のインターナショナル版に付属された映像作品『永遠のナギ節』では、FF10-2の1ヶ月前のお話が描かれており、続編を示唆する映像となっていました。

《出典:FINAL FANTASY X 永遠のナギ節》

《出典:FINAL FANTASY X 永遠のナギ節》

新しい時代に順応できないユウナ。スフィアに映っていたティーダらしき人物。ファンはFF10の続編が出ることを心待ちにしていたと思います。

そして発表された『FF10-2』。なんかユウナの姿が奇抜になっているけれども、召喚獣の復活など気になる要素満載。

何よりも、ティーダとユウナが逃亡しているシーンと、そこで流れる「君なの? それとも、似てるだけ……?」というユウナのつぶやき。PVでのティーダの登場はすごく盛り上がりました。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

こんなのを見せられれば、当然ファンはティーダを捜す旅が主軸の物語だろうと期待しますよね。間違いなく制作者側もそういう意図でPVを制作したことでしょう。

『FF10-2』の問題点

しかし『FF10-2』が実際に発売されて、蓋を開けてみれば批判の嵐。

主に批判される要因となった問題点がどこにあるか振り返ってみましょう。

ユウナの変貌

FF10では清楚で儚げな雰囲気がありながらも、芯の強い女性だったユウナ。

《出典:FINAL FANTASY X HD Remaster》

永遠のナギ節を作ってから2年後のFF10-2では……。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

どうしてこうなった。

あのユウナが露出の高い服装で、ギャルみたいな言葉を発し、まるで別人かのように変貌した姿に愕然としたファンも多いでしょう。

まるで中学時代に清楚だった子が、高校生になって再会したら金髪でピアス付けたギャルになってたみたいな衝撃。

FF10-2のたった1ヶ月前はいつものユウナだったのに、一体誰がユウナをこんなに変えてしまったのか。

しかし、これには一応、しっかりとした伏線と理由付けが用意されています。

『永遠のナギ節』では、ユウナが新しい世界に順応できず自分の人生を自由に生きていなかったため、リュックが心配していました。

《出典:FINAL FANTASY X 永遠のナギ節》

ティーダを捜す旅に出ることを決意したユウナに、リュックは「お土産を持ってきた」と言います。

リュック「まず着替えね。雰囲気がらっと変えちゃおうよ」

《出典:FINAL FANTASY X 永遠のナギ節》

お ま え か。

そう、ユウナの見た目はリュックが用意した服装なのだと思われます。このときに髪型も変えたのかもしれませんね。

ティーダやリュックを真似るような口調とテンションなのも、本人が2年前から停滞し続けている自分を変えたいという気持ちから。「変わった」というより、「変わろうとしている」というのが正しい表現かもしれません。

実際、ストーリーを進めていくと、ユウナの本質は変わっていないことがわかります。ティーダを失った悲しみも忘れておらず、少し無理して明るく振る舞っているユウナの健気さを知ることができます。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

ユウナの変貌に理屈づけがされていたとしても、やはりゲームとして失敗であったことは間違いないでしょう。

まずストーリーを進めないとユウナの本質がわからないのも問題ですし、2年前の自分から変わるにしても別に変わり様はいくらでもあったわけで、こんな変化を望んだプレイヤーはいたのでしょうか。

理屈を説明しないとファンが納得できない時点で、良い変化でなかったことは明白。

FF10-2のユウナのキャラクター性自体は、一人のキャラクターとして決して悪いものではないのですが、“FF10のユウナが” こんなキャラクターになったということが問題点になるのだと思います。

ギャルゲーのような雰囲気

FF10はシンに怯える恐怖、シンやエボンに立ち向かう勇敢さ、ティーダとジェクトの確執など、一貫してシリアスで重厚な雰囲気を持つ物語でした。

『永遠のナギ節』では、ティーダらしき人物が映ったスフィアを見て、前に進むことをユウナが決意するという、FF10の続編に相応しい映像となっています。

そして高まる期待の中発売されたFF10-2。どうなったかといえば……。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

!?

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

!?

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

!??!?!!?!?!??

なにこのギャルゲー。

FF10とはまるで打って変わり、女の子三人がわいわいきゃっきゃうふふしているギャルゲーに成り下がりました。

『永遠のナギ節』での旅の始まり方から、こんな展開になるって誰が予想できたでしょう。ティーダはどうしたの? ティーダは……。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

どうしてこうなった!?

ゲーム開始からわずか15分足らずでユリパだのユウナのダンスだのが描かれ、この時点でソフトを売り投げてしまった人も少なくないです。

私はユウナのキャラデザに関しては割と肯定派なんですよ。10-2の髪型と服装も好きです。OPムービーの演出も好きでした。

ただ、流石にユリパの演出と、ルブラン戦後にユウナのダンスが止まらないムービーを見たときは、「やっちまったなこのゲーム」と思いましたね……。

別にそういうゲームを否定はしませんよ。かわいい女の子がきゃっきゃうふふしている話はそれはそれで好きです。

でもそれをFF10の世界観でやっちゃあいけねえ。

前作の世界観や雰囲気、エンディングの余韻をぶち壊しにしてしまったのは、本作最大の問題でしょうね。

一応、ストーリーを進めればシリアスな展開になってはいきます。平和になった世界が、徐々に不穏になっていくというシナリオを表現しています。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

ですがゲーム序盤のインパクトを覆すのには至らないかと。

ユウナの性格においてもそうですが、いくら後から理屈をつけても序盤に大きなマイナスな印象を与えてしまうと、プレイヤーの心にはいつまでもしこりが残ってしまうものだと思います。

肩透かしにも程があるメインストーリー

ストーリーを進めていけばシリアスになっていく……とはいったものの、肝心のメインストーリーが肩透かしにも程があります。

『永遠のナギ節』でティーダを捜す旅にでて、FF10のファンも前作のような壮大なストーリーを期待していたはず。

かと思えばカモメ団とか言ってわいわいしているし、思ってたのと随分違うストーリー展開を見せていきます。

そして何よりもひどいのは、PVでティーダと一緒に逃亡していたシーンが、ただの夢落ちだったこと。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

夢落ちと知ったときの私の落胆っぷりは計り知れないものがありました……。

しかもティーダらしき人物は結局ただのそっくりさんで、その人が起こした事件を解決するってだけの、「それもうFF10の続編でやる意味なくない?」ってレベルの浅いシナリオ。

メインシナリオが短いため前作のような感動はなく、ティーダがでることもないという、PV詐欺レベルのようなお話でした。

本作はサブシナリオが充実した作品だとはいえ、メインシナリオがここまで肩透かしなのはひどかったですね。一言で言えば、FF10をプレイした人が望んでいた続編のシナリオではなかったでしょう。

前作の名シーンを台無しにした隠しエンディング

私が一番悲しいのは、本作の隠しエンディングです。

前作のシナリオはとても見事なものでした。ユウナが死ぬ代わりにシンを倒すはずのところを、逆にティーダが消滅する代わりにシンを倒すという、逆転現象が起こったシナリオ。

ティーダとユウナの、死ぬ側と残される側の立場が途中から逆転する演出が上手でした。ティーダの消滅シーンはとても感動できるエンディングでしたね。

《出典:FINAL FANTASY X HD Remaster》

《出典:FINAL FANTASY X HD Remaster》

《出典:FINAL FANTASY X HD Remaster》

エンディングで号泣したあとにユウナの演説が流れ、切なさの残るまま迎えたスタッフロール。その直後に突如流れ出すラストシーン。

《出典:FINAL FANTASY X HD Remaster》

《出典:FINAL FANTASY X HD Remaster》

「え!? ティーダ、生きて……えっえっえっ」と動揺しながら観ていたら、ティーダが水の中から出てくる瞬間に『FINAL FANTASY X』とタイトルロゴが表示されて終わります。

プレイヤーにわずかな期待と希望を残して想像の余地を膨らませて終わる最高の終わり方だったと思います。初見では余韻で10分以上放心してしまいました。

私はFF10の終わり方はFF史上最高のラストシーンだったと思ってますし、なんならゲーム史上に残る名シーンだったとも思っています。

しかしその名シーンを台無しにしたのがFF10-2の隠しエンディング。あろうことか先ほどのシーンを流用し、「ティーダが復活してビサイドの海から出てくるシーン」の一部にさせられてしまったのです。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

ファンとしては確かにティーダが復活して嫌なわけじゃありません。むしろ続編に期待していたのは、ティーダが復活することでしたしね。

とはいえ、隠しエンディングで大した理屈もなく簡単に復活させられてしまうような展開を望んでいたわけではありません。せっかく前作であれほど綺麗な終わり方をしたのに、ご都合主義でティーダが復活させられてしまったようにしか見えないのです。

もっと本編でティーダ復活のためにあれこれあって、それを主軸にする物語であれば、ティーダ復活もご都合主義感がなくなり、納得できるものとなっていたでしょうが……。こんな復活のしかたよりは、復活しないままでいた方がFF10の感動を壊さずに済んだのではないでしょうか。

それもそのはず、元々シナリオチームはティーダの復活を考えていなかったそうなのです。別の部門のスタッフからティーダ復活の要望が強かったため、隠しエンディングとして入れることになったとのこと。それがこの安易な復活を生んでしまったわけです。

別の作品の話になりますが、『ヒカルの碁』や『遊☆戯☆王』も、主要人物のお別れシーンがあり、それ以降復活するという展開は最後までありませんでした。遊戯王は劇場版で復活させようとしていたのですが、あくまで幻のような感じで一瞬しか登場せず、台詞もなしという、原作の感動を壊さないように留めています。

FF10-2も安易にティーダを復活させるべきではありませんでした。どうしてもハッピーエンドじゃなければ嫌だという人には良かったかもしれませんが、物語としてみれば間違いなくティーダが復活しない方が綺麗なままでした。

『FF10-2』の良かったポイント

散々問題点を書き綴ったものの、本作にも良かったポイントは存在します。

ATBの完成形と言えるバトル

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

前作ではCTB(カウントタイムバトル)というターン制のバトルシステムを採用していましたが、本作はFFお馴染みのATB(アクティブタイムバトル)に戻っています。

本作はATBの完成形と言えるほど、優れたバトルシステムになっていると思います。

今までのFFシリーズでは、コマンドを選択しても行動するのは一人一人順番なので、パーティ全員の行動を選択し終えて「順番待ち」が発生しました。

本作は敵味方同時に行動するため、順番待ちが発生せずにスムーズに敵味方が攻撃していきます。そのため、バトルのテンポが速いです。

同時に攻撃が可能になったことにより、「チェイン」というシステムが追加されました。連続で攻撃するとチェインが積み重なりダメージが増加するというシステムで、これにより攻撃のタイミングを考えるなど、新たな工夫をバトルに反映できます。

ドレスフィアというジョブシステムも、ジョブシステムを搭載していたFF5の頃から更に進化しています。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

戦闘中にジョブチェンジができ、ジョブごとに覚えたいアビリティを自分で決められるため、育成と戦闘の自由度がとても高いです。

前作のCTBも非常に良くできたシステムでしたが、FF10-2のATBも良くできています。前作と違ってキャラクターの成長の方向性を自由に決められるのが魅力。

ドレスフィアがギャルゲーっぽいというのに目を瞑れば、優秀なジョブシステムだったと思います。

膨大な量のサブイベント

メインシナリオは短く肩透かしな内容でしたが、本作はやり込みに力を入れており、本編を軽く超えるほどの膨大な量のサブイベントが用意されています。

《出典:FINAL FANTASY X-2 HD Remaster》

強くてニューゲームにより周回プレイしやすく、シナリオのクリア率が表示されるため、何度も周回プレイしたくなってしまう魅力があります。

本編シナリオを補完するようなサブイベントや、前作のキャラクターに関わるイベントなどが多く、街や人単位で前作から2年後の物語を楽しめます。こちらの方が、メインストーリーよりもよっぽどFF10の続編らしさが出ていたと思います。

総評

秀逸な戦闘システムと、豊富なサブイベントによる充実したやり込み要素。これらは良かったものの、無視できないFF10の続編としての問題点の数々。

FF10-2はFF10の続編として開発したのが失敗でした。

キャラを使い回さないで完全に新規の作品として発売していれば、こんなに低評価をもらうことはなかったのではないかと思います。ひとつのソフトとして見れば、それなりに楽しめる作品です。

ティーダ復活をメインストーリーの主軸にせず、それなのに隠しエンディングで復活させたというのが、中途半端な対応で一番嫌だったね。

劇的な退場の仕方をした重要人物を、安易に復活させてはならないという不文律を破ってしまったのが惜しかったなあ。

私はなんだかんだFF10-2のユウナも好きなんですけど、受け入れられない人はとことん受け入れられないでしょうし、前作からガラッと変えようと挑戦しすぎたのかなという印象ですね。

当時FF10-2に嫌気が差した人も、FF10への熱意が冷めた今なら、前より寛容な気持ちで本作を楽しめるかもしれませんよ。

ちなみにティーダ復活に関しては、FF10-2の続編の小説を読むともっと後味の悪い結末が待っています。もうこれ以上FF10という名作を汚さないでという気持ちになりますね……。