FF7Rは失敗!? リメイクの問題点を詳しく解説します

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1997年に発売された名作『ファイナルファンタジーVII(以下、FF7)』。それをPS4でフルリメイクした『ファイナルファンタジーVII リメイク(以下、FF7R)』が、原作から23年もの時を経て発売されました。

分割商法で販売されると事前に告知されていたため、当時から不安は囁かれていました。分割商法の問題点については以下の記事で語っています。

関連記事:【FF7】リメイクの分割商法は本当に必要だったのか? 問題点・不安点を語る

私は原作をプレイ済みで、原作は本当に最高傑作だと思っています。その私が今作『FF7R』をクリアしてみましたが、はっきり言ってその出来にかなり失望してしまいました。

世間では売上良好、面白いとの声も多いですので、あくまで私個人の意見となりますが、本リメイクが失敗したと感じた問題点を詳しく解説していきたいと思います。

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FF7Rの問題点

8割以上水増しで改変されたストーリー

《出典:FINAL FANTASY VII REMAKE》

開発スタッフが「ミッドガルを魅力的に描く」ということを重視したとのことで、原作にはない新規エピソードが多数追加されました。

しかしそれにより、明らかに”水増し”という印象を受けます。8割以上はストーリーが改変されており、FF7の原型をギリギリ留めているくらいで、まるで別の作品をプレイしている感覚になりました。

問題なのは、それらがとても必要だったとは思えないシナリオの数々だということ。原作にはいなかった新キャラクターを掘り下げたり、だらだらと戦闘やイベントが長く続くだけで本筋が全く進まないのです。

《出典:FINAL FANTASY VII REMAKE》

たとえば、最初の壱番魔晄炉爆破から列車に乗り込むまで、原作では5分くらいのシナリオだったのが、マップが広いのと戦闘シーンが多くなったことで30分以上かかります。

他にも原作なら10~15分程度のダンジョンが2時間ほどかかるくらい水増しされており、原作既プレイじゃなければ「何してる話だったっけ?」ってなってしまうくらいストーリーの脱線が多いです。

これらの追加ストーリーがなければ、ミッドガル編までではなくもっと原作のストーリーを進ませることができたでしょう。もしかしたら分作にしなくても一作で完成させられたのでは? と感じるほど……。

たとえるなら、漫画原作のアニメが原作に追いついてしまってずっとオリジナルストーリーを展開し続けているようなもの。もっと言うなら、コンビニのカルピスウォーターを更に水で薄めていったようなものとでも言いますか。

原作プレイ済みであれば脱線の多さに飽き飽きしますし、原作未プレイの方でも、本筋が進まず話が盛り上がらない今作をやって果たして楽しいと感じるのだろうかと疑問が残ります。

原作のストーリーを”失敗”扱いにした並行世界設定

一番ショックだったのが、原作のストーリーを”失敗”扱いにした並行世界設定です。

原作には登場しなかった『フィーラー』と呼ばれる謎の存在が登場します。クラウドたちの前にたびたび現れ、時には邪魔をしたり時には手助けしてくれます。

《出典:FINAL FANTASY VII REMAKE》

このフィーラーは「運命の番人」と呼ばれ、星の運命に抗う者たちの邪魔をし、星が本来たどる運命通りになるように修正してくる存在。

この”運命”というのは、暗にFF7原作のストーリーのことを意味しています。つまり原作とは違うストーリー展開になろうとすると、フィーラーが邪魔をして原作通りの展開にしようとするというもの。

更にエアリスなど一部のキャラクターが、明らかに原作のストーリーを知っているかのような、いわゆるループもので二週目にいるようなメタ発言をよくします。

《出典:FINAL FANTASY VII REMAKE》

物語の終盤ではこのフィーラーに抗い運命を変えるという展開になっており、その過程で本来たどるはずだった世界(FF7原作のシーン)がフラッシュバックのように度々映ります。

ネットではフィーラーを「原作厨」と揶揄する人もいます。このフィーラーに打ち勝ったため、次作以降のストーリー展開は一体どうなるのか見当も付きません。

言うなればFF7原作のストーリーが失敗だったと言っているようなものなんですよね。

たしかにFF7原作は重要人物の死亡、主人公の精神崩壊など数々の暗い展開があり、決してハッピーエンドとは言えないです。しかしそのつらい出来事を乗り越えて戦うストーリーに感動したからこそ、FF7の人気があるのではないでしょうか。

それを安易にハッピーエンドにするためか、または分作にしたリメイクをいつでも終わらせられるように自由なストーリー展開にするためかは不明ですが、メタな存在を作りだして原作を失敗扱いにしたのは非常にショックでした。

後半のストーリー展開は、もはや「ファンが作った二次創作かな……」とまで感じてしまったほど。

原作から逸脱どころか原作を敵視して物語の根幹を変えた本作が、果たしてリメイクと呼んで良いのでしょうか。

原作未プレイへの配慮のなさ

水増しや原作改変でショックを受けるのは主に原作プレイ済みの人でしょう。では原作未プレイなら問題なく楽しめるのかと言われれば、未プレイへの配慮のなさが目立つ作品となっているのが現実です。

本来の運命として時々流れる原作のシーンは、未プレイの人からすれば意味がわからない映像ですし、原作のストーリーを知らない人が運命を変えるという展開自体なにも盛り上がりません。

挙げ句の果てには原作の後半で登場する重要キャラクターのザックスが、なんの説明もなく『FF7 クライシスコア』と同じムービーで登場し、更にその運命が変わる展開が訪れます。

《出典:FINAL FANTASY VII REMAKE》

ザックスについてはFF7リメイクの中で一切の言及がないまま、運命が変わったシーンとして大々的な扱いを受けており、未プレイの人からすれば「誰???」としか言い様がないと思います。

「FF7のストーリーやキャラクターはもちろん知ってるよね?」とでも言いたげな展開となっていくので、リメイクを謳っているのに未プレイへの配慮のなさが目立ちました。

本作はFF7リメイクというよりも、『FF7プレイ済みの人に向けたアナザーストリー』とでも呼んだ方が良い作品でしょう。

人気キャラ(セフィロス)の安売り

《出典:FINAL FANTASY VII REMAKE》

FF7のラスボスであり、人気キャラクターでもあるセフィロスは、本来ミッドガル編までは登場しません。

しかしリメイクではクラウドの幻覚としてしつこいくらい登場します。

当然本作ではセフィロスの詳しい説明がないままなので、未プレイの人には今一意味がわからないですし、既プレイの人には「いい加減しつこい」としか思われないほどの登場頻度。

分作にしているため本来セフィロスの出番がなく、しかし人気キャラクターであるため登場させないとと思ったスタッフが強引に詰め込んできたようにしか感じられず、人気キャラの安売りをしているなあと感じてしまいました。

分作により回収されない伏線が多すぎる

これは分作発表されたときから覚悟していたことですが、分作にしたことで回収されていない伏線があまりにも多いです。

そもそもストーリーが全然納得いく結末を迎えておらず、ただただ引き延ばしされまくった話を終えただけであり、本来のストーリーの序盤しか物語が展開されていません。

原作未プレイからすればフィーラーによって更に意味不明な展開が多くなり、なんの解説もない謎のシーンが多々ある状況。ここからまた数年、十数年と続きを待たされることになるため、プレイヤーの熱意が冷めてしまうのは避けられないでしょう。

運命を変える展開にしてしまったため、ますますこの先あと何作で終了するのか、もはや誰にも想像ができません。果たして初見プレイの人が最終作まで楽しんでプレイできるのでしょうか……。

なぜFF7Rは失敗してしまった?

FF7ブランドを長持ちさせたかったのではないか

《出典:FINAL FANTASY VII REMAKE》

FF7はスクウェア・エニックスにとって非常に高い人気を持つブランドです。

FF7のリメイクは最終兵器とも呼ばれていたほどで、確実に大きな売上を出せることが見込まれている作品でした。

今回水増しをしてまで分作にしたのも、フィーラーによってストーリーを大幅改変したのも、FF7ブランドを長持ちさせたかったからではないかと推測します。

当初は単純にフルリメイクの手間が大きすぎて分作になるのかと考えましたが、本作のボリューム自体は十分すぎるほど大きく、水増しさえなければもっと原作のストーリーを進ませることは十分可能でした。

追加されたストーリーも特に必要だったと思えるものはほとんどなかったので、結局の所はFF7リメイクという切り札を単発で終わらせたくなかっただけだと思われます。

原作の運命とは別物にしようとしたのも、本作の売上から今後どのように続きを作っていくかを保留にするためかもしれません。人気がなければ原作とは全く別の展開にして次作で完結まで持って行くことができますからね。

FF7シリーズの人気が失墜するまで、FF7ブランドを使い回す可能性があるのではないかと思っています。

開発者がやりたかったことを、FF7に当てはめただけに過ぎない

「バッドエンドで終わるはずの運命に抗う」というのは、昨今のアニメやゲームでは珍しくないですし、ループ系の物語は人気が高いです。

しかしそれはあくまでそういうテーマで作られた物語が面白いのであって、全く関係なかった作品のリメイクでそういうことをやっても、ユーザーの求めるものからは離れてしまいます。

開発者が運命に抗うストーリーを描きたいと思って、「じゃあFF7のリメイクでやれば人気出るじゃん!」と考えて作ったのでは? と邪推してしまいます。FF7リメイクが前提ではなく、開発側がやりたかった話をFF7に当てはめただけと言いますか。

実際に、PS2ソフト『ダージュオブケルベロス -ファイナルファンタジーVII-』では、「FPSゲームを作りたい」⇒「せっかくだしFF7のヴィンセントを主人公にしよう」という経緯で開発されており、開発者側がやりたいことをシリーズものに当てはめるということを過去に行っています。

《出典:ダージュオブケルベロス -ファイナルファンタジーVII-》

今回もFF7のリメイクを良いものにするために考えた結果のことではなく、最初から「ループ系の話を描きたい」⇒「FF7の悲しい物語をハッピーエンドにすればウケそう」といった思考で今回の展開に至った可能性があります。

原作に忠実なリメイクなら傑作になった予感はする

最初からFF7ファンが想定していたように、原作に忠実なフルリメイクとなっていれば、傑作になった予感は十分します。

PS1ソフトをPS4ソフトにリメイクする上で一番期待するのは、やはりグラフィック。これに関しては流石スクエニというべきか、感動するほど美麗なグラフィックでFF7の世界が描かれています。

《出典:FINAL FANTASY VII REMAKE》

イベントシーンもキャラを動かしているときも常にムービーのような綺麗さ。サブキャラも含めて完全なフルボイスという豪華さも手伝って、ここら辺に関しては一切の手抜きがない素晴らしい力のいれ具合。

だからこそ本当に惜しいと思ってしまいますね。こんな感じで原作に忠実なリメイクだったら大絶賛だったのに……と感じました。

まとめ

原作を愛し、長らく今作に期待していた私からすると、今作のリメイクにはかなり失望したというのが正直なところです。

個人的に名作のリメイクでは、賛否別れるような大幅な改変をしないでほしいですね。

忠実なリメイクで高評価を受けるリメイク作品は世の中に多々ありますが、大きな改変を施したリメイク作品はどうしても賛否別れて荒れるイメージが強いです。

FF7プレイ済みで、かつ原作のストーリーに納得いっていない気持ちのあるプレイヤーなら本作を楽しめるのかな。

逆に原作の思い入れが強い人や、原作未プレイの人は、今回のリメイクには不満を抱くかもしれないね。