ニンテンドースイッチソフトの『ポケットモンスター ソード・シールド』は、初めての据え置き機でのポケモンということで、期待が寄せられています。
厳密にはニンテンドースイッチはハイブリッド型と言って、据え置き機と携帯機両方の機能を持っているけど、携帯機専用じゃないポケモンは初めてだよね。
おかげで今までよりグラフィックが向上しているし、テレビでプレイできるのは新鮮だね。
しかし本作は、発売前に開発陣から「過去作のポケモン全ては実装できず、ガラル図鑑に載っていないポケモンは過去作から連れてこられない」ということが発表されました。
いわゆるポケモンのリストラですね。ポケモンシリーズでは新作が出るごとにポケモンの総数が増え、全てのポケモンを新作で使うことができました。本作は初めてその流れを切って、過去ポケモンのリストラを実施しています。
今回の件を『互換切り』と表現する人もいますが、決して互換切りではありません。
このリストラ・互換切りの件について解説します!
『ポケモン ソードシールド』では過去作のポケモンが一部リストラされる
『ポケモン ソードシールド』では、ガラル図鑑に載っていないポケモンは過去作から持ってくることができません。つまり、過去作のポケモンが一部リストラされています。
過去作のポケモンでもガラル図鑑に登録されているポケモンは登場します。ピカチュウやリザードンなどお馴染みのポケモンがいるので、過去作のポケモンが好きな人でも楽しめます。
ただし対人戦に関しては、登場するポケモンの総数が減ったことで、パーティの自由性が少し減ったと言えるでしょう。手塩にかけて育てていたポケモンが、ソードシールドに対応していなくて対人戦で使えないということも起こると思います。
ポケモンは新作が発売される度に総数を増やしてきていたので、ポケモンファンにとってはやはりショックなことですよね。
過去作との互換性がなくなったわけではない
今回の問題に対して、「互換性がなくなった」「互換切りだ」という意見がネット上に転がっていますが、厳密に言うと互換切りとは言いません。
あくまでソードシールドに対応していないポケモンを送ることができないだけで、対応しているポケモンは過去作から送ることが可能です。そのため、今まで過去作で育ててきたポケモンが全て使えなくなるというわけではありません。
互換性という言葉が一人歩きしているので勘違いしてしまう人も出そうですが、ガラル図鑑に登録されているポケモンに限り、互換性がなくなったわけではないので安心してください。
また、今回リストラされたポケモンも、今後の新作に登場する可能性があることを名言されています。そのため、過去に育てたポケモンが全く使えなくなるということはありません。
ハードの性能の進化により、全ポケモンの製作は困難になった
ソードシールドに全ポケモンが登場できない理由は、皮肉にもハードの性能が進化したことが原因。
初期のポケモンは、戦闘中でもグラフィックは一枚絵だけでした。技のエフェクトも単純で全ポケモン共通の演出があるだけ。

《出典:ポケットモンスター 金銀》
しかしハードの性能が向上していくにつれ、グラフィックと演出も進化し続けています。現在では戦闘中のポケモンは3Dモデルで描画されてゆらゆら動いていますし、技のエフェクトも派手になっています。
当然ながら、これだけグラフィックと演出が良くなっているということは、その分ポケモン一匹の開発に時間がかかっているんですよね。しかもポケモンの総数がどんどん増えていく一方なので、その労力は想像に難くありません。
他のゲームで3Dモデルで動くモンスターが800種類以上も登場するゲームなんてまずないですからね。この先も全ポケモンの開発をし続けるのなら、1000種類、1500種類……と膨らんでいきますし。
どこかでポケモンをリストラする決断をしなければ、一匹一匹のクオリティを上げつつポケモンの種類を増やして全ポケモン登場させるなんてことは、いつかは実現できなくなることは目に見えていたわけです。
『ポケモン』なんだから全種類登場して当たり前、と考える人もいるかもしれませんが、ゲームはボランティアで作っているわけではなく、ビジネスです。今回のリストラはやむを得ない決断だったと思いますよ。
キャラのリストラ問題は『ポケモン』ソフトに限った話ではない
ポケモンのリストラは初めてのことなのでファンの間では騒然としましたが、そもそもキャラのリストラ問題は『ポケモン』ソフトに限った話ではありません。
同じ任天堂のソフト『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズでは、三作目の『スマブラX』からキャラのリストラが行われています。
スマブラシリーズも新作の度に新キャラクターが登場していきますが、過去作のキャラクターを全て登場させるとなると、総数が増えすぎて開発に膨大な時間がかかってしまいます。
また、バランス調整も大変ですね。ただキャラクター多ければ良いというわけではなく、対人戦ゲームであればキャラ間の性能差も広がらないように調整しなければいけません。キャラ数が多くなるほど調整が困難です。
スマブラシリーズではニンテンドースイッチの『スマブラSP』にて、過去作のキャラクターも含めた全キャラクターが参戦ということで話題になりました。

《出典:大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL》
開発陣も集大成という気持ちで開発したため、次回作から全キャラクター参戦はもうないと名言しています。これだけの数がいながらキャラ間のバランスもかなり良いので、相当調整に苦労したと思われます。
他のソフトでも、新作が出る度にキャラクターの総数が増え続けるゲームというのはありません。
むしろポケモンが800種類以上に至るまで新作に全種類出し続けたことの方が、ゲーム業界では異例だったと言えるでしょう。
まとめ
『ポケモン ソードシールド』に全ポケモンが登場せず、ポケモンのリストラが行われるということに批判の声も多く見られました。
しかし完全な互換切りというわけではないですし、グラフィックの進化やバランス調整を考えるとやむを得ない対応です。
言い換えれば今後も新ポケモンは増え続けていくということですし、こればかりは受け入れるしかないことだと思います。
ハードの性能が進化してグラフィックが綺麗になることは嬉しいけど、こういう弊害もあるんだよね。
初代や金銀のように一枚絵しか使わなかったら、ポケモンの総数を減らさずに開発できたと思うと、ハードの進化も一長一短だね。